TOPへ

知的障害

知的障害とは

知的障害は、全般的な知能と社会生活に対する適応能力に障害があり、日常生活や社会生活に問題が起こっている状態です。生まれついてのものから発達期(18歳まで)までに生じたものであることが診断の条件となります。知的能力の判定については知能指数(IQ)が使われることが多く、IQ70を概ねボーダーラインとしています。知的障害は、その知的能力と適応能力の障害の程度に応じて、軽度、中等度、重度、最重度の4段階に分類されます。


知能指数(IQ)とは

知的障害は、知的能力の側面と、社会的適応能力の側面、それに18歳までの発達期に生じた物であるかどうかを加えて診断します。このうち知的能力に関しては、知能検査の結果によって導きだされる知能指数(IQ)を参考にします。知能検査には米国の心理学者であるウェクスラーが開発したものを使用することが一般的です。一般的な目安はIQ70以下ですが、該当していても適応能力が高い場合などでは知的障害と診断されないこともあります。


知知的障害の特徴

知的障害は、知的能力の発達が全般的に遅れており、社会的適応能力も同様であるため、知的障害があることによって発生する問題は、非常に広範囲におよびます。
なかでも学習能力に関する問題は、読字、書字、発語など、コミュニケーションに必要な手段に大幅な遅れがみられ、他者との関係性をつくれない子どももいます。また運動能力に関する発達の遅れも顕著です。
一方、生活面では、適応能力に遅れがみられ、集団のなかで様々な行動を身につける、覚えた複数の事柄から、その塲に適したものを選択することができない、順番をまつことができない、どれを優先で行ったらよいかがわからないなどの症状が見られます。
軽症の場合は、少しの助言だけで一人でできることもありますが、重症の場合、身の回りのことが一人でできず、常に援助が必要といったケースも生じてきます。

軽度

  • 暗算が苦手、おつりの計算が不得意
  • どれを優先的に進めたらよいのかわからない
  • 計画を立てることが苦手
  • ものごとを抽象化して考えることが苦手
  • 読み書きが困難
  • ボキャブラリーが狭く言葉の使い方に成熟できない
  • まわりからの支援は必要だが自立はできる

中等度

  • 成人しても学習程度や技能が小学生程度で止まっている
  • 社会的に判断していくことや、意思決定をすることが難しい
  • 明言されていなくても、なんとなく決まっているようなことが理解できない
  • 支援を必要とするが自立は可能

重度

  • 文字や数字を理解できない、難しい
  • 時間の管理や金銭の管理ができない、難しい
  • その場の状況についてなどの単純なコミュニケーションはできる可能性がある
  • 食事、入浴など生活への支援が生涯にわたって必要

最重度

  • 身振りや手ぶりを使っての限定的なコミュニケーションは可能
  • 生活全般にわたって、障害にわたる支援、指示が必要
  • 限定的な身振り、手振りでのコミュニケーションは可能

知的障害の原因

知的障害の原因は、遺伝子異常など先天性なもの、胎内や出産時に母体から受けた影響や胎内お呼び出産時の外傷など周産期の何らかの障害、出産後の外傷や脳疾患などによる後天的なものが考えられますが、複合的で特定困難なものもあります。


知的障害の治療

現在のところ、知的能力や社会適応性そのものを治療する方法はありません。少しずつ前に進むためのサポートと、知的障害を原因に発症する精神的・身体的疾患の治療が行われます。